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CDMA移動体通信とセキュリティー |
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李 晩榮 著
原 晋介 訳 |
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24,000円 |
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A5 592頁 |
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4-87653-060-2 C3055 |
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本書は次世代の無線通信をサポートする符号分割多元接続(CDMA)方式について詳細にかつ体系的に解説した専門書である.CDMAはスペクトラム拡散通信方式に基づいた多元接続方式であり,第3世代移動通信システム(IMT-2000)の無線アクセスとして採用が決定している.スペクトラム拡散通信は古くは1940年代からある技術であるが,当初は軍事面での応用が主であった.近年,音声だけでなく静止画像や動画像といったマルチメディアをサポートできる技術として多元接続方式への研究・応用が活発になったが,これを詳細に解説した専門書は見当たらなかった.
本書はCDMA移動通信システムとしてすでに実績のあるQUALCOMM社のIS-95標準をベースにして書かれており,類書で多く見られるような変調と復調,拡散と逆拡散および多元接続に対する解説だけにとどまらず,基地局と移動局における呼の処理,移動局の身元を識別するための認証手順,さらにそこで必要となるハッシュ関数を用いたメッセージダイジェストの作成方法,プライバシー保護やセキュリティー等,移動局通信ネットワークを構築する上で必要不可欠な技術をあやゆる側面から多くの図や表を用いて詳細に解説している.
さらにIS-95はその拡散率から狭帯域のCDMAと呼ばれているが,本書の後半では拡散率の大きい広帯域のCDMAシステムについても解説されている.また,すべての章を通して例題が豊富であり,かつその例題に対する解説も詳細になされていることが本書の際立った特徴となっており,読者は本書を読みながら例題を自分で解きその解説と照らし合わすことで,CDMA移動通信の変復調や拡散といった物理的な側面からネットワーク構成,セキュリティまでの側面が自然と身に付くようになっている.本書は深く幅広い見識を持ったMan Young Rhee教授だから書けたと言っても過言でない.
本書はCDMAの基礎からネットワーク構成技術,およびセキュリティまでが網羅されており,CDMAについて理解する上で格好の解説書である.CDMAシステムを理解したい大学院学生,実際にCDMA移動通信ネットワーク構築に携わる技術者や研究者には必読書である.
本書の構成
第1章 セルラーCDMA入門
本書でカバーする範囲について,つまり,CDMAセル構成,チャネル構成,呼処理,認証とメッセージセキュリティ,および広帯域のCDMAシステム等,第2章以降で詳細に解説される内容を示し,それぞれのアウトラインを述べている.
第2章 CDMAチャネル動作に必要な要素技術
CDMA移動通信ネットワークを動作させるための要素技術,つまり,誤り訂正技術,直接系列拡散,変調と復調,認証とメッセージ暗号化等を簡潔に解説している.
第3章 リバースCDMAチャネル
移動局から基地局へのリバースCDMAチャネルについて,それを構成するアクセスチャネルとトラフィックチャネルの2つに分け解説している.それぞれのチャネルで使用されるフレーム構成,畳み込み符号化,シンボル繰り返し,ブロックインターリービング,ウォルシュ関数を使用した直交拡散,長周期符号による直接拡散,および変復調方式等が,豊富な図,表,および例題で詳細に解説されている.
第4章 フォワードCDMAチャネル
基地局から移動局へのフォワードCDMAチャネルについて,それを構成するパイロットチャネル,同期チャネル,ページングチャネル,およびトラフィックチャネルの4つに分けそれぞれを詳細に解説している.
第5章 移動局の呼処理
移動局における呼の処理過程を,初期化,アイドル,アクセス,および制御等の状態と,さらにそれぞれを構成する副状態に分割し,それぞれの状態/副状態の特徴や機能と処理について第3章「リバースCDMAチャネル」で取り扱った2つのチャネルと第4章「フォワードCDMAチャネル」で取り扱った4つのチャネル対応付けて詳細に解説している.処理の流れについても十分に注意が払われている.
第6章 基地局の呼処理
基地局における呼の処理過程を,第3章「リバースCDMAチャネル」で取り扱った2つのチャネルと第4章「フォワードCDMAチャネル」で取り扱った4つのチャネル対応付けて詳細に解説している.移動局の登録やハンドオーバー手順についても解説が加えられている.
第7章 1方向ハッシュ関数とメッセージダイジェストの概要
暗号化アルゴリズムとして用いられる1方向ハッシュ関数と移動局を認証するためのメッセージダイジェストの作成方法について概要を述べている.
第8章 認証,秘匿と識別
移動局の身元を同定するための移動局識別番号やシリアル番号について述べた後,移動局の認証についての手順が解説されている.認証データを計算するための鍵生成技術を2つ取り上げ,それぞれについて例題を用いて詳細に検討している.
第9章 リバースW-CDMAチャネル
広帯域(W)のCDMAのフォワードチャネルについて,それを構成するトラフィックチャネル,情報チャネル,シグナリングチャネル,パイロットチャネル,およびアクセスチャネルの5つに分け,それぞれを解説している.そこで用いられる畳み込み符号,ブロックインターリービング,シンボル繰り返し,直接系列拡散,およびフィルタリングの方法が例題を用いて解説されている.
第10章 フォワードW-CDMAチャネル
W-CDMAのフォワードチャネルについて,それを構成するパイロットチャネル,同期チャネル,ページングチャネル,およびトラフィックチャネル4つに分け,それぞれを解説している.そこで用いられる畳み込み符号,インターリービング,シンボル繰り返し,ウォルシュ関数を用いた直交拡散,およびフィルタリングの方法が例題を用いて解説されている. |
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