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コンピュータアーキテクチャ |
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M. モリス・マノ 著
国枝 博昭 他訳
伊藤 和人 他訳 |
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6,000円 |
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A5 572頁 |
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4-87653-007-6 C3055 |
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ディジタル計算機の登場以来、処理の高速化と記憶容量の増大を目指してハードウェアの改良が続けてられている。特に近年の集積回路設計・製造技術の進歩により集積回路のコストが低減したことで、大量の集積回路資源の利用が可能になり、マイクロプロセッサやメモリを含めたディジタル計算機のアーキテクチャは過去10年の間に大きく進化した。
しかしながらディジタルシステムの基礎理論は不変のものであり、どんなに複雑なディジタル計算機アーキテクチャであっても基礎理論の応用にすぎない。大規模かつ複雑化した最新の計算機アーキテクチャを理解し、あるいは設計するためにも、計算機システムの基礎の学習は依然として重要でり、しっかりとした基礎知識を身につけておく必要がある。
本書は、ディジタル計算機の基礎理論である論理回路および複雑なディジタルシステムの記述に不可欠なレジスタ転送言語を説明している。ディジタル計算機のハードウェアについては、中央処理装置(CPU)、メモリ、入出力装置などのディジタル計算機の構成要素、ならびにCPUのマイクロプログラム制御を解説している。ディジタル計算機のソフトウェアについては、アセンブリ言語およびアセンブラ、データ表現、算術演算方法を解説している。さらに、RISC、パイプライン、マルチプロセッサといった最近の計算機構成技術についても詳しく説明してる。本書によって、ディジタル計算機の理解と設計に必要な基礎理論を習得するとともに、最近の計算機構成技術に関する知識を得ることができる。
本書の内容
第1章 ディジタル論理回路
ディジタル計算機を理解するためには、まずディジタル回路の基礎知識が不可欠である。ディジタル回路の初歩として論理代数、組み合わせ回路、順序回路を説明する。また、論理関数の簡単化、組み合わせ回路の設計手法、順序回路の設計手法を解説する。
第2章 ディジタル構成部品
ディジタル計算機の構成部品として一般的かつ重要なデコーダ、エンコーダ、マルチプレクサ、レジスタ、カウンタ、メモリについて、回路構造と典型的な利用方法を解説する。
第3章 データの表現
ディジタル計算機では、様々なデータを取り扱う。ディジタルシステムが直接処理可能なデータは二値データであり、ディジタル計算機の内部では、複数個の二値データを組み合わせた符号によって数値データや文字データを表現する。整数、補数による負数表現、固定小数、浮動小数といった数値データの符号化方式と、文字データの符号化方式について述べる。また、数値データを用いる算術演算と符号化の関係について解説する。
第4章 レジスタ転送言語とマイクロ操作
ディジタル計算機のような大規模なディジタルシステムでは、個々のディジタル信号の振る舞いを論理関数によって記述したとしても、その記述からシステム全体の動作を理解することは困難である。より抽象的な記述、すなわち、どのレジスタからどのレジスタへデータが転送されるか、転送の間にデータがどのように処理されるか、といった記述の方がディジタル計算機の動作の表現と理解に適している。データの転送および処理といったマイクロ操作によってディジタルシステムの動作を記述するための言語であるレジスタ転送言語を解説する。
第5章 計算機の基本構成と設計
基本ディジタル計算機の構成と設計を説明する。基本ディジタル計算機は単純であるが、以降の章で説明する様々な機構を備えている。計算機の内部処理は、レジスタ転送言語を用いて記述されているので、レジスタ転送言語を丹念に読むことで、ディジタル計算機の内部動作を理解することができる。
第6章 基本計算機のプログラミング
ディジタル計算機のプログラムについて解説する。ディジタル計算機が実行するプログラムは、計算機に処理を指令する二進符号の集まりである。計算機が直接理解可能な二進符号と、人間が理解可能な記号表現の関係を説明し、記号表現を用いたアセンブリ言語プログラムから二進符号を用いた二進プログラムへの翻訳処理であるアセンブラを解説する。また、入出力プログラミング、サブルーチン、割り込みについて説明する。
第7章 マイクロプログラム制御
ディジタルシステムの動作制御では、構成部品に与える様々な制御信号が必要である。制御信号は、ハードウェアによって構成した制御回路によって生成する方式と、マイクロプロセッサが実行するソフトウェアによって生成する方式がある。後者のソフトウェアによる制御方式を、マイクロプログラム制御という。基本ディジタル計算機をマイクロプログラム制御するためのマイクロプログラム式制御装置の設計を解説し、典型的な命令セットのマイクロコードを書く方法を例示する。
第8章 中央処理装置
中央処理装置(CPU)は、計算機の内部にあって二進プログラムの解釈およびマイクロ操作を実行する。典型的な構成の汎用レジスタと算術論理装置が共通バスで接続されたCPUの設計を解説する。CPUが実行する命令の書式とアドレスモードを説明する。また、簡略命令セット計算機(RISC)の概念を紹介し、その特徴と利点について解説する。
第9章 パイプラン処理とベクトル処理
パイプライン処理とベクトル処理を用いることで、計算機の処理速度を向上することができる。パイプラインの概念と処理速度向上の仕組みをいくつかの例を用いて説明する。算術演算を高速化する算術パイプラインと命令実行を高速化する命令パイプラインの両方を解説する。RISCプロセッサで利用される効率良い命令パイプライン、遅延ロード、遅延分岐を説明する。 また、ベクトル処理を利用するベクトルプロセッサとアレープロセッサを紹介している。
第10章 算術計算
符号付き絶対値、符号付き2の補数固定小数、浮動小数二進数、および二進コード化十進数(BCD)のデータに対する加算、減算、乗算、除算のアルゴリズムを説明する。アルゴリズムは、レジスタ転送言語を用いたフローチャート形式によって表されている。また、ディジタルハードウェアによって算術演算を実現する方法を解説する。
第11章 入出力構成
計算機には、コンソール、プリンタ、磁気ディスク、磁気テープといった様々な装置が接続されている。これらの装置とCPUやメモリの間でデータをやり取りするための入出力装置が計算機内にある。入出力装置が外部装置と相互通信する方法として、並列データおよび直列データの非同期転送方式について説明する。計算機内部で、入出力装置、CPU、メモリの間でデータをやり取りするためのプログラムI/O、割り込み起動転送、直列メモリアクセス、入出力プロセッサといった4つの転送モードについて解説。
第12章 メモリ構成
計算機内でデータを記憶するには、キャッシュメモリ、主記憶、磁気ディスクといった記憶装置を利用する。これらの記憶装置は、記憶容量やデータの読み書き速度が異なり、必要に応じて組み合わせて利用される。高速で小容量の記憶装置と低速で大容量の記憶装置から構成される記憶階層を解説。キャッシュメモリとして用いられる連想メモリの回路構成とアクセス方式を説明している。また、実際の主記憶容量よりも大きなメモリアドレスを利用可能とする仮想記憶方式について解説。
第13章 マルチプロセッサ
複数個のプロセッサを同時に使用することで並列処理による処理高速化を図るマルチプロセッサについて説明する。複数個のプロセッサの接続構造、メモリアクセスのプロセッサ間調停を解説し、プロセッサ間データ通信と同期の必要性を説明する。また、個々のプロセッサが内部に有するキャッシュのデータ整合性問題を説明し、いくつかの解決方法を解説する。 |
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