お問い合わせ会社概要サイトマップ
Home書籍情報暗号理論とセキュリティ・シリーズ < 暗号理論とセキュリティ
ディジタル移動通信
電子情報通信大系
ディジタル信号処理/画像処理
コンピュータサイエンス
エレクトロニクス
Javaとその応用
暗号理論とセキュリティ
Waveletとその応用
MATLAB/Octave
計算力学
Mathematicaとその応用
デザイン情報
地震工学・建築土木工学
化学大系
科学技術数学
映像情報/ディジタルテレビジョン放送
計算統計学
コミュニケーション&ネットワーク
理工系の基礎数学
その他書籍
←一覧に戻る
暗号理論とセキュリティ
原 啓介 著
4,800円
A4 192頁
4-87653-380-6 C3055
 本書では、近年徐々に身近なものになりつつあるセキュリティ技術について、インターネット上での安全な通信を可能にするためのプロトコルを実際に設計するという立場から、それに必須なものとなる暗号理論の基礎を解説する。

 暗号理論そのものや、インターネットセキュリティに関する解説書は多くあるが、あくまで理論的立場から暗号理論の数学的解説をするだけであるか、または通信アプリケーションでセキュリティを確保するための解説といったものがほとんどであった。

 それに対し、本書においては、実際にセキュリティシステムを設計するにあたって必要になる知識と、実装するにあたって必須なものになる注意点を、それに即して具体的に紹介することを主眼としている。すなわち、本書では基礎となる対称暗号と公開鍵暗号を始め、ハッシュ関数、擬似乱数発生、などの各オブジェクトについて、それらを組みあわせて実際にセキュリティシステムを作りあげる、と言う立場から論じている。

 暗号理論、セキュリティ理論における進展は非常に速く、今日紹介したアルゴリズムやプロトコルが明日には全く古くなってしまうと言うことがありうる。この本では、公開鍵暗号では現在の楕円曲線暗号の発展についても詳しく論ずるなど、最先端の話題にも触れてはいるが、あくまで、セキュリティや暗号を設計、実装していく上での「常に古くならない」問題意識について注意を促していくことが、特徴の一つである。

 この本の最初の構想では、現代使用されている、または近い将来に使用されるであろう具体的な暗号について、そのソースコードなどを解説する予定であったが、このように分野の進展が非常に速いこと、また、暗号とセキュリティの面でのオープンソース、オープンアルゴリズムの態度が当たり前のものになり、誰でも簡単にインターネット通じて手に入れることが出来るようになったこと、以上の二点の理由から割愛し、自分で暗号やセキュリティの設計、実装について考える上での必須の知識と問題意識に集中している。


本書の内容

以下では本書の内容を各章ごとに概説する。

1 はじめに (暗号とセキュリティに関する一般論)

この章ではイントロダクションとして、この本で暗号とセキュリティについて解説するその方針を述べ、暗号とセキュリティを設計実装する上での注意点、その考え方の基本を概説している。また以下の章についての大まかな構成が述べられている。

2 暗号のための簡単な数学

2-1 初等整数論と初歩の代数学

暗号理論、特に公開鍵暗号の理解に必須のものとなる、初等整数論と初歩の代数学の必要最小限の知識を紹介する。

2-2 初等確率論

暗号設計の様々な段階でその強度を保証するために、必須の知識となる確率論の考え方についてその初歩を解説する。

2-3 計算量

暗号、特に公開鍵暗号においては、計算量についての理解が必須である。後に必要となる最小限の知識を与える。

3 対称鍵暗号(古典的暗号)

3-1 暗号の定式化

暗号を数学的に扱うための定式化を行う。

3-2 ブロック暗号

ブロック暗号と呼ばれる典型的な対称鍵暗号の形式の定義を与え、その設計法、運用モードなどについて論じている。またもう一種の対称鍵暗号の形式であるストリーム暗号についても論じ、ブロック暗号の運用モードとの関係も示す。

3-3 対称鍵暗号への攻撃(暗号解析)

暗号への攻撃の分類などの一般論、および、代表的な対称鍵暗号の攻撃となっている差分攻撃法と線型攻撃法について論じている。これらは対称鍵暗号の強度を保証する解析法という意味でも、重要である。

4 公開鍵暗号(非対称鍵暗号)

4-1 RSA系およびDH系、その他

公開鍵暗号系の代表であるRSA系、およびDH系について、そのアルゴリズムを具体的に解説する。さらに、楕円曲線暗号などでも用いられるElGamal系についても論じている。

4-2 因数分解、離散対数問題のアルゴリズム

RSA系やDH系など主要な公開鍵暗号系は因数分解の困難さ、または離散対数問題の困難さをその安全性の根拠にしている。この章ではこの二つの数学的問題についての高速解法の可能性について論じる。

4-3 楕円曲線による公開鍵暗号系

この章では楕円曲線暗号を理解するための最低限の数学的知識を紹介し、それを用いた公開鍵暗号系のアルゴリズムを紹介する。

4-4 その他のアイデアによる公開鍵暗号系

この章では以上で述べた他のアイデアによる公開鍵暗号のアルゴリズムの可能性について述べる。

5 擬似乱数、および暗号的ハッシュ関数(メッセージ要約関数)

5-1 暗号と乱数、擬似乱数

セキュリティシステムの設計上、重要な乱数、擬似乱数について論じる。特に一方向性関数とそのハードコア関数による暗号学的に安全な擬似乱数の発生法、その具体的構成について述べる。

5-2 暗号的ハッシュ関数(メッセージ要約関数)

公開鍵暗号系を用いたセキュリティシステムの中で論理署名など、重要な働きをする暗号的ハッシュ関数(メッセージ要約関数)について論じる。その定義、役割、確率論を利用した攻撃への対処などが含まれる。

6 セキュリティシステムとしての暗号系

6-1 対称鍵暗号と公開鍵暗号のハイブリッド

対称鍵暗号と公開鍵暗号の短所をお互いにカバーし、その長所を引き出すために用いられる典型的なアイデアである、その混合(ハイブリッド)によるセキュリティシステムについて述べる。

6-2 認証、論理署名、証明書

公開鍵暗号系によって可能になった強力な機能である、論理的な認証、署名のアルゴリズムとその応用について論じる。

6-3 セキュリティシステム全体

この本で紹介してき対称鍵暗号、公開鍵暗号、擬似乱数発生、暗号的ハッシュ関数を用いて、安全でない通信経路を通じて、お互いを論理的に認証し、秘密通信をする一つのセキュリティシステムを構築する。

Appendix

1 大きな数はどれくらい大きいか

暗号の設計の現場で用いられる「大きな数」について

2 Stirlingの公式

本書の各所で用いたStirlingの公式について。

参考文献と索引

参考文献

本書で挙げた参考文献表の他、暗号とセキュリティ理論について学ぶ上で参考になる文献について、その読み方もこめてその内容を紹介している。

索引

本書の特徴として、詳しい索引を設けている。

 
書籍情報 ご注文方法 人材募集お問い合わせ会社概要サイトマップ