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数値計算の理論と実際
河村 哲也 著
3,600円
A5 306頁
4-87653-360-1 C3055
電子計算機の発達により、理工学における数値計算あるいは数値解析はますます重要になってきた。数値計算の最大の利点は、解析的な方法ではとても取り扱えないような難しい問題に対しても一応数値で答えを出してくれる点にある。たとえば、代数方程式の根についていえば、5次以上の代数方程式に対して根の存在は保証されているが、具体的に根を求めるための根の公式は存在しない。しかし、数値的な方法を使えば実用的な精度の範囲で根を求めることができる。また、定積分を計算する場合でも、不定積分を求める方法では全ての関数に対して不定積分が存在するとは限らないため、数値的な方法が必須となる。さらに、たとえ式の形で解が求まったとしても、それが収束の悪い無限級数で表わされていたり、複雑な積分を含んでいる場合には、数値を求めるのが困難である。

これは、たとえば構造物を設計する場合、実際に必要なのは式の形の答えではなく着目点にどれだけの力がかかるかの具体的な数値であるからである。数値計算の欠点としては、一般に答えを得るためには膨大な四則計算が必要になる点にある。したがって、数値計算法の中には考え方は古くからあっても実際このような状況のなか、精度が高く、計算時間や記憶容量などの点で有利な数値計算ライブラリが多数流通しており、現実に自分でプログラムを組むことは、ごく簡単なプログラムを除いてほとんどなくなった。

しかし数値計算法の基礎や考え方などを学ぶことが非常に大切であることには変わりがない。これは、基礎を知らずに、数値計算ライブラリをブラックボックスとして使った場合には、誤った使い方をしたり、性能を十分に引き出せなかったり、応用がきかなかったりする恐れがあるからである。

 このような点を考慮して、本書は数値計算の基礎理論とそれが実際にはどのようにプログラムで実現されているかを、数値例やプログラムを示しながらわかりやすく解説した本である。そして本書は理工系大学の2、3年生を対象に、数値解析あるいは数値計算法の教科書、自習書または参考書として使われることを想定している。本書は、お茶の水女子大学、東京大学、千葉大学などで著者が行った講義がもとになっている。


本書の特徴

本書の特徴は、数値計算の基礎(基礎編)と数値計算の実際(実際編)の2部構成としたところにある。

基礎編では、数値計算法のしくみを、できる限り枝葉をとりその骨格がわかるようにしながらも、記述は平易となるように解説されている。すなわちコンパクトでありながらもわかりやすい本となっている。ここでは具体的な数値例についても最小限にとどめ、「泥臭く」ならないように配慮されていう。


本書の内容

内容は以下のとおりである。

第1章では数値計算法の基礎として、数値計算全般にかかわるアルゴリズムや誤差、桁落ちなどの話題を簡単な例を通して解説している。

第2章は非線形方程式の求根法のなかでよく使われる2分法とニュートン法を、第3章では与えられた離散個のデータから関数の推定を行う方法である補間法と最小2乗法の基礎を取り上げた。

第4章は補間法の応用として数値積分を、また数値積分の応用として離散フーリエ変換を話題にした。

第5章は常微分方程式の数値解法の基礎を初期値問題と境界値問題に分けて解説した。また常微分方程式の解法の偏微分方程式への応用である線の方法も取り上げた。

第6章は連立1次方程式の解法、第7章はその応用である固有値問実際編では、基礎編に述べた方法を実際のプログラムにするとどのようになるかを具体的に示している。そのために基礎編で示した計算法を、実際のプログラムに組みやすいようなアルゴリズムの形でもう一度示している。また実際の数値計算の雰囲気をつかんでいただくため、数値例も多く示して、例えば収束計算では正解に近づく様子などがわかるようにした。

章だては1章を除き基礎編と対応するようになっている。すなわち、基礎編を読んでいてプログラムがどうなっているかとか、具体的な数値例が知りたければ実際編の同じ番号の章、節を参照すればよいようになっている。ただし、本編でプログラムを示した目的は計算法の考え方を知るためであり、それらをライブラリとして使うためのものではない(よいプログラムは広く流通している)。したがって言語としては数値計算用に開発されプログラムの構造がわかりやすいFORTRANと、最近情報系の学科で主力言語として使われているCが用いられている。なおCについても、C特有の使い方は避け、冗長であっても構造がわかりやすくなるようにしてある。

付録では、張力スプライン、ガウスの積分法および高速フーリエ変換について概要を述べられている。
基礎編
1. 数値計算の基礎
  1.1 アルゴリズム
  1.2 丸め誤差と打ち切り誤差
  1.3 桁落ち

2. 非線形方程式
  2.1 2分法
  2.2 ニュートン法その1
  2.3 ニュートン法その2

3. 数の近似
  3.1 ラグランジュ補間法
  3.2 エルミート補間
  3.3 スプライン補間法
  3.4 最小2乗法

4. 数値積分
  4.1 区分求積法と台形公式
  4.2 シンプソンの公式
  4.3 ロンバーグ積分
  4.4 離散フーリエ変換

5. 微分方程式
  5.1 1階常微分方程式の初期値問題
  5.2 ルンゲ・クッタ法
  5.3 連立微分方程式・高階微分方程式
  5.4 境界値問題
  5.5 線の方法と偏微分方程式

6. 連立1次方程式
  6.1 ガウスの消去法
  6.2 LU分解法
  6.3トーマス法
  6.4 反復法

7. 固有値問題
  7.1 ベキ乗法
  7.2 逆ベキ乗法
  7.3 ヤコビ法

実際編
1. 数値計算の基礎
  1.1 行列の基本演算
  1.2 2次方程式

2. 非線形方程式
  2.1 2分法
  2.2 ニュートン法
  2.3 2変数ニュートン法

3. 関数の近似
  3.1 ラグランジュ補間法
  3.2 エルミート補間法
  3.3 スプライン補間法
  3.4 最小2乗近似

4. 数値積分
  4.1 台形公式
  4.2 シンプソンの公式
  4.3 ロンバーグ積分
  4.4 離散フーリエ変換

5. 常微分方程式
  5.1 オイラー法
  5.2 ルンゲ.クッタ法
  5.3 連立微分方程式
  5.4 境界値問題
  5.5 線の方法

6. 連立1次方程式
  6.1 ガウスの消去法
  6.2 LU分解
  6.3 トーマス法
  6.4 反復法

7. 固有値問題
  7.1 ベキ乗法
  7.2 逆ベキ乗法
  7.3 ヤコビ法

付録
  A.1 張力スプライン
  A.2 ガウスの積分公式
  A.3 高速フーリエ変換
  B. Cプログラム
 
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