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ATMネットワーク
マックダイサン 他著
スポーン 他著
村田 正幸 訳
19,800円
A5 732頁
4-87653-022-X C3050
本書は、高速かつ広帯域通信を実現するATM(非同期転送モード)技術の理論やその応用、サービスに関する実用的なATM解説書の決定版である。本書では、今ATMが必要とされている要因をまず明らかにし、その後、ATMの中核技術とそのアプリケーションについて詳細な解説を行なっている。

本書の特徴の第一として挙げられるのは、単に通信標準をコピーしてきたり、それらを要約したりするのではなく、標準を出発点としてネットワークの重要な概念がいかに実システムに実現されているかを示している点である。そのために、イラストや具体例、実システムにおける使用例などを豊富に示している。それらによって、旧来の電話網から、「データ革命」を起こした音声通信/データ統合通信へ移行し、さらに2000年代に実現されるであろう「コンピュータ情報通信ネットワーク」の姿が自ずと理解できるようになる。また、現行技術がどんどん陳腐化していく中で、次世代技術による新しいネットワークパラダイムを理解し、その中でATM技術が果たす役割が明らかになるであろう。さらに、ATMネットワークの運用や管理についても詳細な説明を行なっており、また、ATM技術に基づいたインターネットワーキング技術についてもフレームリレーやSMDS、IPをATM上でサポートするための手法について詳細な分析を行なっている。従って、本書は、ネットワーク/コンピュータ技術者、ネットワーク管理者、ネットワーク設計者、プログラマやプログラムマネージャ、経営情報システムスタッフなどの専門技術者だけでなく、販売/マーケティング関係者やATM技術の利用者などにとっても有益な参考書となるものである。


本書の内容

本書はATM(非同期転送モード)技術の理論やその応用、サービスに関する実用的な解説書の決定版として著わされたものである。本書では産業界においてATMが必要とされている原因をまず明らかにし、その後、ATMの中核技術とそのアプリケーションについて詳細な解説を行なうというスタイルをとっている。それらによって、電話網に始まって「データ革命」を起こした音声通信/データ統合通信への移行、さらには2000年代に実現されるであろう「コンピュータ情報通信ネットワーク」の姿が自ずと理解できるようになる。また、現行技術がどんどん陳腐化していく中で、次世代技術による新しいネットワークパラダイムが本書によって理解できるようになり、その中でATM技術が果たす中心的な役割が明らかになろう。

本書の特徴の2番目として、単に通信標準をコピーしてきたり、それを要約したりするのではなく、標準を出発点としてネットワークの重要な概念がどのように実システムに適用されているかを示している点が挙げられる。その理解を助けるために、イラストや具体例、実システムにおける使用例などが豊富に示されている。特に、時分割多重(TDM: Time Division Multiplexing)とATMの比較、ATMの平易な説明、現在利用可能なATMシステムの詳細な比較、ATMトラヒック管理技術、さまざまな通信技術との比較、ATMの将来像なども詳しく書かかれている。その結果、データ通信の管理者やネットワーク設計者、データ通信やコンピュータ通信を勉強する学生の双方にとって有益な解説書となっている。さらに、ATMネットワークの運用や管理についても詳細な説明を行なっており、また、ATM技術に基づいたインターネットワーキング技術についてもフレームリレーやSMDS、IPをATM上で提供する手法について詳細な分析を行なっている。従って、ネットワーク技術者、ネットワーク管理者、ネットワーク設計者、プログラマやプログラムマネージャ、経営情報システム担当者などの専門技術者の他、販売やマーケティング関係者、ATM通信技術の利用者などにとっても有益な参考書となるものである。さらに、会社経営者がATMの概要を知りたい場合や、ATM技術/サービスをどのようにして事業に役立てることができるか知りたいという場合にも有用であろう。また、本書では、さまざまな手法を用いて従来の型にとらわれないネットワークに対する見方を示している。イーサネットやインターネットが世界を席巻した一方、ISDNが成功しなかったのを見ればわかるように、音声通信で用いられてきたネットワーク構成のパラダイムがそのまま将来のデータ通信にも適用できるとは思えない。現在、データ通信の柱となっている諸々の技術の今後の発展には、まだいくつかの障害がある。例えば、アプリケーションとATMとの間を橋渡しするものや、ATMを用いた経路制御や相互接続、いたる場所からのネットワークアクセスへの対処などは重要な問題であり、詳細な解説が加えられている。特に本書の最後に示されている、ATM技術と他の技術、すなわち、フレームリレー、パケット交換、セル交換技術やLAN技術との比較は、今後の情報通信ネットワークの将来像を展望する上で格好の教材となろう。


本書の構成

本書は8部から構成されている:

第1部では、産業界においてATMが求められている要因と、コンピュータ通信、情報通信の今後の展開について議論されている。次に、

第2部では、データ通信における伝送方式、ネットワーク、プロトコル、サービスについての基礎が示されている。

第3部では、B-ISDNとATMの標準、プロトコル処理の基本、および、詳細が紹介され、また、そのプロトコル構造が示されている。

第4部では、ATMのハードウェア、ソフトウェア、アプリケーションが紹介されている。

第5部では、ATMにおけるトラヒック契約、輻輳制御、トラヒック処理技術、設計の問題について、アプリケーションからみた概要が紹介されている。第5部は本書の技術的な中心となるもので、それぞれのアプリケーションに対してATMを用いることの利点とその適用範囲を明らかにするための実用的なガイドラインが示されている。次に、

第6部では、上位層プロトコルがATMを用いて相互接続するための手法について詳細に検討されている。また、ATM技術に基づいた現在の、さらには将来の公衆網サービスについても検討が加えられている。

第7部では、ATMネットワークの運用、ネットワーク管理、ATMレイヤ管理、および、性能計測についての概説がなされている。

第8部では、フレームリレー、SMDS、IP、高速イーサネット、FDDIなど、現在ATMと競合している技術との比較が行なわれ、最後に、ATMを含めた今後の動向に対する予測が示されている。

本書に示しているATM通信技術の原理は、通信やコンピュータの専門技術者が精通しているべきものであり、今後長年にわたってデータ通信の中心技術となるATMについて理解しておくことは専門技術者だけでなく、ネットワーク利用者にとっても極めて重要なことである。

 
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